2023-06-01 update

「種をつなぐ」利尻礼文サロベツ国立公園たより 2023.6 Vol.30

利尻島「礫地に咲く花を訪ねて」

6月下旬、利尻山山頂近くで黄色い花の蕾を見つけました。礫地にひっそりと咲くこの花
は、利尻島の固有種“リシリヒナゲシ”。日本で唯一自生するケシの種類で、絶滅危惧種
に指定されており、環境省も生育状況調査などを行っています。花の見頃は7月中旬から8月中旬。利尻山山頂の厳しい自然環境の中、今夏も可憐な花を咲かせてくれそうです。
※写真は昨年の開花の様子です。
撮影地:鴛泊登山道(利尻富士町)


礼文島「最果ての島の宝物」

かつて島内に広く自生していた“レブンアツモリソウ”。花の浮島・礼文島を代表する固有種
ですが、盗掘などでその数は減少し、絶滅の恐れがある国内希少野生動植物種に指定されています。今季の花の見頃は終わりましたが、毎年5月下旬から6月中旬の開花時期には、生息状況の調査や監視、普及啓発活動など、地域の皆様と協力して、島の大切な宝物であるこの花をそっと見守っています。
撮影地:レブンアツモリソウ群生地(礼文町)


サロベツ「小さな沼の嬉しい花便り」

夏の時期、“コウホネ”というスイレン科の水生植物が、湖沼に黄色い花を咲かせます。稚内
西海岸の浜勇知園地には、その名も“こうほね沼”があり、かつてはコウホネで水面が埋め尽
くされていましたが、近年は水位の低下などにより全滅の危機に瀕していました。当時の姿を目指して地域の関係者と共に移植作業を行い、3年が経ったこの春、この沼に根付いたコウホネが数輪の立派な花を咲かせました。
撮影地:こうほね沼(稚内市)